研修における講師の重要性とは?選び方・育て方を解説
公開日:2024年03⽉26⽇最終更新日:2024年03⽉26⽇
「研修に行ってきたけど、講師があまりよくなかった」とは、しばしば聞く話ではないでしょうか。確かに、研修において講師の果たす役割は非常に大きいものです。研修の良し悪しが講師に依存している部分があるのは間違いありません。
この記事では、研修の成功に大いに寄与する講師の役割とその重要性を詳しく解説します。この記事を読むことで、以下の内容を理解できるようになります。
・講師の基本的な役割、必要とされるスキル
・講師の選び方
・講師の育成方法
このほかにも講師に関わる研修を成功させるポイントについて解説します。企業の研修を担当されている方はぜひ参考にしてみてください。
研修における講師とは? 役割と重要性
研修における講師の役割は、受講者の理解を深め、その成長を促進するための支援と指導を行うことです。単に知識を伝達するだけではありません。講師は教育のプロフェッショナルであり、教材の提供、授業の進行、受講者の理解度の確認など、学びのプロセス全体を管理します。
また、講師は研修の成果を左右する重大な要素であり、その資質やスキルは研修の効果に大きな影響を及ぼします。言い換えれば、講師が優れていればいるほど、研修の効果が高まると言えます。
これらの理由から、講師の役割とその重要性は企業の人材育成において絶対に無視できない要素であると言えるでしょう。研修の講師は、自社の社員の中から選ぶ場合と外部の講師に依頼する場合とがあります。いずれの場合も、上記の点は当てはまります。
講師の基本的な役割
講師の基本的な役割は、情報を正確に伝達するだけでなく、受講者の理解を深めて自己啓発を促すことです。また研修が受講者のスキル向上に寄与するよう、受講者一人ひとりの理解度を確認し、必要に応じた指導を行うことも重要です。
そのため講師は一方的に教えるだけでなく、受講者との対話を通じて理解度を確認し、適切なアドバイスを行う能力が求められます。
研修を成功へ導く講師の特性
成功する研修には質の高い講師が不可欠です。講師には以下のような特性が求められます。
・教える技術の高さ
・自身の経験や知識を効果的に伝える能力
・受講者を理解し導く能力
・研修の目的に対する深い理解と共有
これらの特性は講師の資質として備わっているとより効果的ですが、トレーニングや経験を通じて磨くことも可能です。企業のビジョンや経営方針などについては、自社の社員が講師となることが多いでしょう。そのような場合は、上記のポイントを意識して研修の前にトレーニングしておくことが必要です。
研修の種類と講師の対応
研修の種類と講師の対応力は密接に関連しており、適切な対応が求められます。いくつか例を挙げます。
・新入社員向けのオリエンテーション…基本的なビジネスマナーや会社のルールを伝える
・マネージメント研修…中級~上級のビジネススキルを教える
・技術研修やIT研修…専門的な知識を伝える
確かな知識と経験が必須である一方、講師自身が柔軟な思考を持ち、異なる研修に対応できる能力も重要です。このような対応力により、より深く、質の高い学びを提供することができます。
研修の種類に応じた講師の選定と対応力は、研修のクオリティーを大きく左右します。しっかりと理解し、適切な人選と教育を行うことが重要です。
研修の講師の選び方
研修の講師選びは、研修の質と結果に大きく影響します。適任の講師選びは、三つの重要なポイントに集約されます。
・必要な資質とスキル
・経験豊富な講師の見極め方
・研修の目的に合った講師の選定
これらについて具体的に解説します。なお自社から選ぶ場合も外部に依頼する場合もポイントは同じです。
必要な資質とスキル
必要な資質とスキルについて詳しく見ていきましょう。以下の点が挙げられます。
・専門知識…研修対象者に適切な情報を提供し、質の高い教材を作成できる
・コミュニケーション能力…参加者と円滑にコミュニケーションを取り、理解度を確認しながら指導する
・リーダーシップ…研修の進行をリードし、参加者を引っ張っていく
・柔軟性や創造性、問題解決能力などのスキル…研修中の予期せぬ問題に対応したり、参加者の理解度に応じた指導法を考えたりする
講師にはこれらの資質とスキルが求められます。
経験豊富な講師の見極め方
経験豊富な講師の見極め方にはいくつかの要点が存在します。具体的には以下の点です。
・過去の経験や実績
・担当分野の知識と教えるスキル
・受講者とのやり取りができるか
経験や実績には、講師が担当してきた研修の質や成功度合い、参加者からのフィードバックなどが含まれます。また参加者の理解を深めるためには、持っている知識を整理して提示すること、そして具体的な例などを使ったわかりやすい説明が必要です。さらに、講師は参加者とのコミュニケーションに積極的であることも求められます。
これらの要点を踏まえることで、経験豊富な講師を見極めることが可能となります。
研修の目的に合った講師の選定
研修の目的によって求められる講師のスキルや経験は異なるので、まずは明確な研修目標を設定し、それに応じた講師を選ぶことが必要です。
また企業文化やビジョンについて理解し、それを反映した教育ができる講師の選定も重要です。研修は新たな知識を得るだけでなく、企業の価値観を共有し組織の一員としての意識を高める機会でもあります。
適切な講師の選定は、研修の効果を大きく左右します。企業で人材育成を考える際は、研修目標に応じた講師選びを心がけましょう。
研修の講師の育成と研修プログラムの開発
研修の成功は講師の質に左右されます。そのため、講師の適切な育成と研修プログラムの開発は欠かせません。ここでは、以下の点について解説します。
・講師の育成のための基本方針
・効果的な研修プログラムの構築
・実践的なスキル向上のためのワークショップ
・継続的な成長を促す評価とフィードバック
順に見ていきましょう。
講師の育成のための基本方針
講師の育成において具体的に必要となることは次の3点です。
・講師の役割理解や、必要なスキル習得のための長期的な教育計画を策定する
・共通のビジョンを共有し、それに基づいた行動が取れるようにする
・教育カリキュラムは講師のスキルに応じて柔軟に調整する
・講師の評価とフィードバックの制度を定める
講師の教育は、講師が持つべき知識やスキルを明確にし、それに基づいた育成を行うことで成果を最大化するためです。またビジョンの共有により講師全体の質を均一化し、研修の品質向上につなげます。また、講師に応じたカリキュラムの調整は講師の成長を最大化するためであり、研修生の学びの質も向上します。講師のスキル向上のためには、定期的な講師への評価と具体的なフィードバックが不可欠です。
これらの基本方針に基づいて講師育成を進めることで、研修の質を劇的に改善することが可能となります。
効果的な研修プログラムの構築
効果的な研修プログラムを構築するためには、以下の3点が不可欠です。
・明確な目標設定…客観的な自己評価と目標達成への意識向上
・受講者の知識レベルやスキルに合わせた内容の設計…効果の最大化
・定期的な見直しと受講者のフィードバックや成果の反映…内容の改善・向上
研修プログラムは講師の質と深く関わり、どちらかが向上するともう片方も向上する関係にあります。相乗効果で質を高めていくためにも、講師の教育とプログラムの構築は両輪で行いましょう。
実践的なスキル向上のためのワークショップ
実践的なスキル向上のためのワークショップは、講師育成には欠かせません。具体的な業務シチュエーションを想定したロールプレイや、グループディスカッションなどを通じて問題解決の手法を学びます。これらの実践的なトレーニングは、講師が受講者の理解度を確認し、必要に応じて指導方法を調整する能力を鍛えることにも繋がります。
とくに現場の声を反映したワークショップは、講師を一段階上のレベルへと引き上げる有効な手段です。
継続的な成長を促す評価とフィードバック
講師への評価は、講師自身の技術向上だけでなく自己認識の深化や研修プログラムの改善にも役立ちます。効果的な評価方法としては、研修終了後のアンケート調査があります。参加者から直接フィードバックを受け取ることで、講師の長所・短所を明確に把握でき、それに対応した育成策を立てることが可能になります。
また、講師の上司による一対一のミーティングやコーチングも有効です。講師自身の自己観察や反省を促し、自己成長を支えるための具体的なアドバイスを提供することができます。これらの評価やフィードバックを通じて、講師は継続的に成長し、研修の質を高めることができます。
研修の効果を最大化するための工夫
研修の効果を最大化するためには、さまざまな工夫が求められます。ここでは、最大化の工夫について以下の視点から解説します。
・参加者のモチベーション向上策
・講師と受講者のコミュニケーション
・実践的・体験型研修の活用
・オンライン研修の可能性と課題
1つずつ見ていきます。
参加者のモチベーション向上策
参加者のモチベーション向上策として有効なのは、以下の3つです。
・各個人の目標設定
・達成度の可視化
・成果の評価と反芻
目標設定は、受講者自身が研修で何を学び、何を達成したいのかを明確にすることで、モチベーションを維持しやすくします。達成度の可視化は、具体的な目標達成の道のりを示すことで、モチベーションを引き立てます。成果の評価と反芻は、受講者が研修で得た成果を正しく認識し、自己成長を実感することで、次への学習意欲を引き出します。
これらを上手く組み合わせることで、研修の効果を最大化することができます。
講師と受講者のコミュニケーション
講師と受講者のコミュニケーションは、研修の成功を大きく左右します。良質なコミュニケーションを実現するためには、まず講師が受講者を理解し、受講者の学びのニーズを引き出すスキルが求められます。それには、聞き上手であることと、適切な質問を投げかける能力が必要です。
また、受講者からのフィードバックを受け入れ、それを研修の改善に活かす柔軟性も重要となります。これらのスキルを講師が身につけ、実践することで、研修は効果的な学びの場となり、受講者の満足度と継続性も向上します。
実践的・体験型研修の活用
実践的・体験型研修の活用は、理論知識だけでなく実際のスキル向上に直結します。例えば、シミュレーション研修では、現場で直面する可能性のある問題を事前に体験することで、実務での対応力を鍛えることが可能です。
また、グループワークやロールプレイを取り入れた研修では、チームワークやリーダーシップ育成を視野に入れたスキル向上を狙うことができます。実際の業務に即した内容を組み立てることで、研修の理解度と参加者のモチベーションを高める有効な手段です。
ただし、研修内容・研修の進行方法・参加者の準備等、体験型研修を成功させるためには細かなプランニングと独自のノウハウが求められます。
オンライン研修の可能性と課題
オンライン研修は、地理的な制約を無くして時間と場所を選ばない学習を可能にする優れた方法です。しかしモチベーション管理や学習環境の整備など、いくつかの管理に工夫が求められます。具体的には、オンラインでは講師と受講者の直接のコミュニケーションが難しく、その場のフィードバックや質疑応答が制限されます。
効果的な解決策として、動画チャットやフォーラムを活用し、双方向のコミュニケーションを確保することが挙げられます。また、自律的な学習を促すための支援や、学習進行の管理・追跡も重要です。
これらを踏まえ、研修内容や受講者のニーズに合わせて最適な研修形態を選ぶことが求められます。
研修プログラムの実施
研修プログラムの実施には、事前準備からプログラムの終了後まで、一連の流れが求められます。一般に、以下の流れになります。
- 研修施設と設備の選定
- 研修前の準備と注意事項
- 実施スケジュールの立案
- 研修の進行管理
- 成果測定の方法
- 研修後のフォローアップ計画
- 継続的なスキル向上への取り組み
それぞれのステップについて確認していきましょう。
研修施設と設備の選定
研修施設と設備の選定は研修の成功に直接関わる重要なステップです。適切な環境が整わなければ、参加者が集中力を失ったり必要なスキルを習得できなかったりする可能性があります。
初めに、研修の内容に適した環境が必要です。例えば、ITスキルの研修であれば最新のPCやネットワーク環境、チームビルディングの研修であれば広いスペースが必要となります。
また、参加者の快適さも考慮しなければなりません。適切な温度や照明、座席の配置など、参加者が集中できる環境作りが求められます。
最後に、研修地へのアクセスも重視すべきです。遠い場所や交通の便が悪いと参加意欲が下がり、研修の効果を半減させることになりかねません。
これらを総合的に考慮し、最適な施設と設備を選定することが大切です。
研修前の準備と注意事項
研修前の準備と注意事項の段階は、成功する研修にとって非常に重要です。準備としては以下の点が挙げられます。
・研修の目標を明確に設定し、それに基づいた具体的なアジェンダを作成する
・研修の対象となる参加者たちの能力や必要なスキルを把握する
・研修の進行をスムーズにするため、適切な時間管理と役割分担を計画しておく
・資料の準備や設備のチェックを行う
一方、注意事項としては以下の点に留意すべきでしょう。
・研修内容が参加者の興味や関心を引くものであることを確認する
・意見や質問を自由に出せる環境を作る
これらの注意事項により、参加者の学習意欲を引き出すことができます。何よりも研修が一方的な講義形式にならないよう、参加者が積極的に参加できるような工夫をすることが期待されます。
これらの準備と注意事項を踏まえることで、より効果的な研修を行うことができるでしょう。
実施スケジュールの立案
実施の適切なスケジュールを立てることで、研修の効果を最大化し参加者の負担を軽減できます。研修内容と目的を考慮し、それに適した期間を設定します。一括して長時間の研修よりも、分割して短時間の研修を数回に分ける方が効果的な場合もあります。
また、参加者の業務スケジュールや体力を考慮に入れ、休憩時間や日程調整も重要です。理想的なスケジュール設定には柔軟性が求められます。具体的には、全体の進行状況に応じてスケジュールの微調整が可能であること、そして成果が出るまでの時間を適切に見積もる能力が必要です。
研修の進行管理
研修の実施中に進行管理を行う際には、設定した目標に対して進行が適切であるか定期的に確認し、必要に応じて修正を行うことが求められます。また、参加者の理解度や習得状況を把握し、必要であれば研修内容の調整やレベル合わせを行うことも重要です。
これらにより、研修がスムーズに進行しそれぞれの参加者が研修の目的を達成できるようサポートを行います。
成果測定の方法
研修の成果を測定する方法は重要です。首尾良く行われた研修でも、その効果が不明確では企業の成長に結びつきません。成果測定のための主要な手法には、以下のものがあります。
・参加者の満足度調査
・テストやクイズによる知識の理解度チェック
・ミーティングやプレゼンテーションでのパフォーマンス評価
・研修後一定期間経過した段階での再評価
これらの方法で、研修の成果を数値化し、可視化することが求められます。海外企業では具体的には、Kirkpatrickの4段階評価モデル(反応、学習、行動、結果)が広く用いられており、日本においても参考にする企業が増えています。導入に際しては専門家へのアドバイスも有効です。
研修後のフォローアップ計画
研修後のフォローアップ計画は研修成果の定着とスキル向上を目指す重要な一環です。討論会やミーティングを定期的に開催し、研修のレビューと反省を行うことで、継続的な学びを促進します。
また、新たに学んだ知識・技術の活用状況を確認し、必要であれば追加研修を提供するのも有効です。
継続的なスキル向上への取り組み
継続的なスキル向上の取り組みは、一度の研修だけで終わらせず、定期的なレビューとアップデートが重要です。一部の企業では従業員の知識とスキルを時代とともに進化させるために、定期的に新たなトレーニングプログラムを提供しています。
また、スキルの維持と向上のためには、定期的な評価やフィードバックも必要です。年次評価だけでなく、定期的な一対一のミーティングや360度評価など、多角的な評価を行って真剣に取り組むことが求められます。
これらの取り組みにより、企業は常に競争力を保ち、成長を続けることが可能となります。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。