組織で情報共有する重要性とは?目的と効果的な方法を解説
公開日:2024年04⽉18⽇最終更新日:2024年04⽉18⽇
組織において情報共有することは非常に重要です。情報を共有することが生産性向上や企業文化の醸成に役立つからです。
この記事では、組織の情報共有についてまとめます。以下の点について深堀していきます。
・情報共有とは、その重要性
・情報共有の目的
・情報共有の文化の醸成、ルールづくりについて
リーダー職にある方をはじめ、あらゆるビジネスパーソンの方々はぜひ参考にしてみてください。
組織における情報共有
まず組織における情報共有とはどのようなものなのか確認しましょう。以下の側面から解説します。
・情報共有の重要性
・情報共有の目的
・情報共有がもたらす効果
・組織内での情報共有の障壁
1つずつ見ていきます。
情報共有の重要性
情報共有の重要性は、組織の生産性や効率性を高めるために必要不可欠です。組織内での情報共有は、新たなアイデアを生み出し、問題解決につながる知識を広め、より良い意思決定を可能にします。
また情報を共有することで組織内のチームは互いの役割と責任を理解しやすくなり、より密接に協力することが可能になります。情報は組織の成功にとっての重要な資源であり、その効果的な共有は組織の競争力を向上させることが可能です。
情報共有は組織のパフォーマンスに直接影響を与え、その成長と進歩を促進します。
情報共有の目的
情報共有の目的は、主に組織内の効率的な作業進行、メンバーのスキル向上、そして組織全体の知識増加にあります。
まず効率的な作業進行のためには、個々のメンバーが自身の役割と他者の役割を理解し、その上で自分の仕事が全体のどの部分に影響を与えるのかを知ることが必要です。これによりダブルワークの防止や、進行中のプロジェクトで起こり得る問題への早期対応が可能となります。
次に社員のスキル向上も情報共有の重要な目的です。他者から得られる新たな情報や知識、経験を共有することで、自己のスキルセットを拡張することができます。それは直接的な学習の機会を提供するだけでなく、新しい視点やアイデアを提供し創造的な問題解決につながります。
最後に組織全体の知識の増加は、組織が持つ知識全体、すなわち「組織の記憶」の維持と発展に寄与します。これは組織が蓄積した経験や知識を活用して、より良い意思決定を行い、持続的な成功を達成するために重要です。たとえば日本の製造業では「ものづくりの精神」を維持し、新たな技術開発や品質向上に繋げているケースが見られます。これらの目的を達成するため、情報共有は組織にとって必要不可欠です。
情報共有がもたらす効果
情報共有がもたらす効果は多岐にわたります。第一に、組織内の認識の統合が可能になります。共有される情報によって、全員が同じ方向を見て行動することが容易になります。
さらに、速やかな意思決定が可能となることも情報共有の効果です。情報が一部の人間に偏らず、全員に伝わることで迅速な対応を行うことが可能です。
また新入社員の教育や研修の時間短縮も望めます。既存の知識や経験が共有されることで新たな人材が組織に馴染む時間を大幅に削減できるのです。
さらには、社員のモチベーション向上や創造性の向上も期待できます。自分のアイディアが広く認知されることで社員の満足度が上がり、新たなアイディアを生み出す意欲も高まるからです。
組織内での情報共有の障壁
組織内での情報共有は、多くの障壁に直面します。その一つが「情報の非対称性」です。すなわち、情報がすべての関係者に平等に伝わらない現象です。これは、情報共有の手段やコミュニケーションの方法に偏りがあると起こり易いです。
たとえばチャットツールを主体に情報共有を行っていると、チャットツールを利用しない、あるいは利用できないメンバーは重要な情報を得ることができない可能性があります。
他にも「情報の過剰」は大きな障壁となります。必要な情報が多すぎてそれを適切に処理できない、あるいは重要な情報が他の情報に埋もれてしまうという状況が生まれます。情報共有を促進するには、これらの障壁を認識し適切な対策を講じることが重要となります。
情報共有の方法
次に、情報共有の方法について解説します。以下の方法が挙げられます。
・ツールを使った情報共有
・会議を活用した情報共有
・書面による情報共有
・非公式なコミュニケーション
1つずつ見ていきましょう。
ツールを使った情報共有
ツールを使った情報共有は、組織内のコミュニケーションを効率的に行うための有効な手段です。特にリモートワークが広まる現代社会では、チームメンバーとの連携を維持し、クリアなコミュニケーションを保つために必要不可欠な方法となっています。ここでは以下のツールについて解説します。
・チャットツール
・プロジェクト管理ツール
・社内SNS
これらのツールは情報共有を円滑にするだけでなく、リモートワークの増加に伴うコミュニケーションの障壁を打破し、組織内のコラボレーションを強化する効果があります。適切なツールを選択し使用方法をマスターすることで、情報共有の質と速度が大幅に向上します。
では、1つずつ見ていきましょう。
■ チャットツール
チャットツールは現代の組織内情報共有において不可欠な存在です。リアルタイムでの情報共有が可能で他のメンバーとの即時のコミュニケーションを助けるため、プロジェクトの進行状況や課題の解決に役立てることができます。SlackやMicrosoft Teamsなどのツールは、ファイル共有や複数のチャンネルでの会話管理など、単なるメッセージのやり取り以上の機能を提供します。
ただし情報が過剰になると見落とす可能性があるため、適切な管理と効率的な情報の取捨選択が重要です。また同僚との円滑なコミニュケーションのために、適切なマナーやエチケットも必要となります。
■ プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理ツールは、情報共有の一環として非常に有用なツールです。これらのツールは、課題のスケジューリング、担当者の割り当て、期限の設定などの機能を提供します。さらにそれぞれのタスクの進行状況をリアルタイムで確認でき、関連する情報も同一の場所に集めることが可能です。複数の人が同時に作業を進めることができ、業務効率が向上します。
たとえばAsanaやTrelloなどのツールはこれらの機能を備えており、企業の間で広く使用されています。しかしこれらのツールの効果的な使い方を理解し、適切に共有するためには研修が必要です。そのため、社内のリーダーやIT部門がツールの選定から導入、そしてスタッフのトレーニングまでを担うことが重要となります。
■ 社内SNS
社内SNSは現代の組織における情報共有ツールの一つであり、リアルタイムに情報を共有できるという利点があります。たとえばSalesforceの「Chatter」やFacebookの「Workplace」などが、社内SNSの具体的なツールとして挙げられます。
これらのツールは、従業員全員が同時に情報を受け取り、必要な情報を即座に共有したり、探したりすることを可能にします。また社内SNSを活用することで従業員の間でのコミュニケーションが活発化し、互いの業務理解を深めたり、親しみや連帯感を生むことも可能になります。
しかし社内SNS利用にあたっては、情報の管理やセキュリティ対策、プライバシーの保護など、十分な配慮が必要です。
会議を活用した情報共有
会議は情報共有のための一つの有効な手段です。詳細な議論が可能であり即時性があるため、メンバー間での共通理解を早期に築くことが期待できます。
しかし、会議の運用方法によっては時間の浪費となる可能性もあります。会議を活用する際には、目的の明確化、参加者の選定、時間管理などに十分注意しなければなりません。
書面による情報共有
書面による情報共有は古典的な方法でありながら、続いて忍耐強く活用されています。意思決定の過程や根拠を明確に記録し、後で参照することができるという利点があります。
また読む側が自分のペースで情報を消化できるため、理解を深めるのに時間がかかる複雑な問題に対して有効です。しかし一般的には時間がかかり、すぐにフィードバックを得ることが難しいという欠点もあります。具体的な方法としては、電子メールや社内文書、報告書などがあります。
非公式なコミュニケーション
非公式なコミュニケーションも情報共有には必要不可欠です。組織内でのカジュアルな会話や休憩時間など、形式張らない環境でのコミュニケーションはアイデアの交換や新しい視点を探す機会を提供します。
たとえば米国シリコンバレーの企業では、カジュアルな会話を促進するためにカフェテリアやリモートワークツール上での非公式なチャットルームを設けるなどの取り組みが見られます。またこれら非公式なコミュニケーションは、同僚との関係性を強化し情報共有のための信頼関係を築く媒体ともなります。
ただし、非公式なコミュニケーションが過度になると作業時間を侵食する可能性もあるので、適度なバランスが求められます。
効果的な情報共有のための戦略
次に、効果的な情報共有のための戦略についてまとめます。以下の側面から解説します。
・情報共有の文化の醸成
・定期的な情報共有の機会の設定
・情報共有のためのルール作り
1つずつ見ていきましょう。
情報共有の文化の醸成
情報共有の文化を醸成するためには、まず組織のトップからその重要性を理解し、推進する必要があります。経営陣の理解と支持があると、情報共有の価値が社内全体に浸透しやすくなります。
またそれぞれの部署や個人が抱える情報を共有することのメリットを具体的に伝え、社員全員が情報共有に前向きになれる環境を作ることも重要です。
さらに情報共有を当たり前の行為とするためには、組織内でのコミュニケーションを活発にすることが求められます。
これらを実践することで組織内の情報が循環し、新たなアイデアや解決策が生まれやすい組織文化を創出できます。
定期的な情報共有の機会の設定
定期的な情報共有の機会を設定することは非常に重要です。これにはたとえば週次の報告会議や毎朝のミーティングなどがあげられます。これらの機会を設けることで各メンバーが何に取り組んでいるのか、進捗状況はどうなのか、問題は何か、といった情報を共有する機会が確保されます。
またこれにより新しい情報が即時に全員に共有され、業務に活かせる機会が増えます。さらにこれらの情報共有の機会を設ける事で、個々人が抱えている問題や困りごとを早期に共有し、共同で解決するための議論が可能となります。コミュニケーションが活発になれば、組織全体の生産性も向上します。
ただし、余計な会議が増えると作業時間が減ってしまう問題もあるため、効率的で有益な情報共有の場を設けることが求められます。
情報共有のためのルール作り
情報共有のためのルール作りは、組織内の情報流通をスムーズにし、混乱を防ぐ重要な要素です。まず情報の種類や重要度によって共有する媒体を分けることが有効です。たとえば緊急性の高い情報はチャットツールで、長期的なプロジェクトの進捗情報はプロジェクト管理ツールで共有する等です。
さらに情報の共有は適切なタイミングで行うことが肝心です。たとえば定時の会議で週次の情報を共有し、月次、年次の情報は書面にて報告する等のルールを設けると良いでしょう。また情報が適切に共有されているか確認するためのフィードバックループを設定することも重要です。
これにより、情報共有の品質を維持し、健全な組織の運営を実現できます。
組織における情報共有の課題と解決策
最後に、組織における情報共有の課題と解決策について解説します。以下の点が挙げられます。
・情報過多の問題
・情報の非同期性
・情報セキュリティ
1つずつ見ていきましょう。
情報過多の問題
情報過多は組織内での情報共有における大きな課題の一つです。組織全体で情報が飛び交う状況は、重要な情報が埋もれてしまい見逃されるリスクを生むと同時に情報の整理や管理に時間と労力を必要とします。
情報過多の問題を解決するためには、情報の評価基準とフィルタリング手段の確立が必要です。また組織内でのトレーニングや研修によって、情報の効率的な管理と活用スキルを身につけることも重要になります。
情報の非同期性
情報の非同期性は、組織内での情報共有の大きな課題の一つです。この問題は、情報がすぐに必要な人々に正確に伝わらず、組織全体の生産性と効率に影響を及ぼす可能性があります。組織の規模が大きくなるほど、また地理的に分散した場合など、非同期性の問題は増大します。
たとえば、アジア、ヨーロッパ、アメリカに拠点を持つグローバル企業では、タイムゾーンの違いにより情報の非同期性が生じる可能性があります。これにより、重要な情報が適切なタイミングで共有されず、意思決定や業務進行に支障をきたすことがあります。
非同期性の問題を解決する一つの方法は、タイムゾーンを意識した情報共有を行うことです。重要な情報は全員が揃う時間帯にオンライン会議を設定し、共有することで非同期性を最小限に抑えることができます。またクラウドベースの情報共有ツールを活用し、情報をリアルタイムで共有できる環境を整えることも効果的です。
情報セキュリティ
情報セキュリティは、組織内の情報共有において重要な視点です。情報が共有される過程で、意図せず機密情報が漏えいしたり、不適切な人々が情報にアクセスしたりするリスクが常に存在します。そのため組織は情報共有の一環として、情報セキュリティの対策を講じる必要があります。
たとえば情報へのアクセス権限を適切に管理する、不必要に機密性の高い情報を共有するのを避ける、情報を共有する前にそれが組織のセキュリティポリシーに適合しているか確認する、などの対策があります。さらにメンバーへの情報セキュリティ研修を定期的に行い、情報を安全に扱う意識を高めることも効果的です。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。